新人研修の基本項目

 入職時には、介護職経験がある職員にも、貴事業所ならではのやり方や方針をしっかりと伝える必要があります。

 介護職経験の無い職員や、社会経験が少ない職員には、なおのことビジネスマナーを含めて介護の接遇なども説明しなくてはなりません。

 忙しい介護の現場では、手の空いた職員が思いつくままに説明して終わり、などということも見受けられます。あるいは、自分自身もまだ経験が浅いのに、研修担当として任されることもあります。

 入職時の研修は、その後の定着につながる大事な機会です。場合によっては、入職時研修で早くも離職を考えさせてしまうこともあります。

 ただ教えるだけではなく、働く意欲向上につながるように、きちんと研修を行いましょう

基本的な研修項目

  • 基本理念・運営方針
  • 事業所の基本情報(事業主体について、組織概要等)
  • 法令遵守、個人情報保護(誓約書の提出など)
  • 社内規則、勤怠等の確認(タイムカードの管理など)
  • 基本的ビジネスマナー(挨拶、報連相、電話応対)
  • 介護保険制度における事業所の役割り(コンプライアンス)
  • 介護の接遇(挨拶、言葉づかい、態度、身だしなみ、表情)
  • 緊急時の対応(緊急連絡先の提出)、避難経路等の確認救急車利用マニュアル(消防庁リンク)
  • ヒヤリハット、事故報告、食中毒・感染症予防
  • 一日の流れ、月間計画、年間計画、イベントの予定など
  • SNSやLINEでの拡散注意(誹謗中傷、個人情報、情報漏えい)
    ※赤字は特に早い段階で認識しておくべきこと。

効果的な研修を行うために

OJT(On-the-Job Training)現場研修

 職場で仕事をしながら先輩のやり方を、説明を受けながら見よう見まねで学びます。

 対人援助の介護職は、机の上ではなく実際の場面で臨機応変に行わなくてはならないことが多いため、OJTはとても有効です。ただし、利用者側に教育素材であることを悟られると不安を与えてしまいます。事故が起きないように細心の注意が必要です。

 OJTで気を付けなくてはならないのは、研修担当者の適正です。任命された研修担当者が適任かどうか、上司は監督する必要があります。

  • 間違ったことを教えていないか(正しいやり方を担当者自身が理解しているか)
     介護に対する考え方や技術は、時代とともに変わっています。よりよい介護サービスを提供できるよう常に新しい情報を得るよう努力しましょう。
  • 自分のやり方を押し付けていないか(事業所の方針に合っているか)
     事業所の慣習となっていることでも、最善ではないこともあります。また自分のやり方を押し付けるのではなく、より良いやり方を新人職員と一緒に考える姿勢も大切です。
  • 教える速さや内容が適当かどうか(いっぺんに教え込まない)
     即戦力を期待する気持ちは分かりますが、新しい職場で緊張している新人職員にプレッシャーをかけるのは悪循環です。理解していることを確認しながら、辛抱強く接するようにしましょう。
  • 研修ネグレクトをしていないか(説明しない、無視をする)
     「これ前にも言ったよね?」は禁句です。何度も教えるのは面倒であり、本人にやる気がないのか疑問に思うこともあるかもしれませんが、根気よく教えることも先輩職員の大事な役割です。質問しやすい雰囲気づくりも大切です。

OFF-JT(Off-the-Job Training)現場外研修

 職場から離れて、研修を行います。落ち着いた環境で知識や技術を学べるので、専門的な内容をしっかりと身につける時に有効です。また、利用者や他の関係者の前で話題にしにくい内容(事例研究など)の場合は、別室で行う配慮が必要です。

 Off-JT終了後は、知識として身につけただけに終わらず、実際の現場で生かせるようにフォローアップが大切です。

SDS(Self Sevelopment System)自発的研修

 職員自身が、自発的に知識や技術を学ぼうとすることです。いかに自己啓発し、やる気を出させるかがカギになります。27年度法改正では、事業者は職員の自発的研修を支援することを明記しています。

  • 経済的援助(外部研修などの受講料、交通費、教材費などの援助)
  • 時間的援助(シフト調整の配慮、有給取得の承認、研修時の勤務扱いなど)
  • 精神的援助(モチベーション向上のための支援体制)

 職員が自発的に学ぼうという意欲を応援し、研修参加を経済的に支援することは、職員の技術向上によるサービスの質向上と、職員の定着率向上につながります。

 職員が外部研修を希望した時は、申請書を提出させて支援を行うか検討するようにしましょう。

 研修参加申請書 

相談してね! 入職時研修を外部講師にご依頼の場合は、介護事業ES向上研究所にご用命ください。

定着率を高めるために

 定着率を高めるためには、ビジネスマナーの基本をしっかりと理解させることが一番です。ビジネスマナーをなぜ知らないといけないのか?介護におけるビジネスマナーで最も大切な点は?など、介護職員としての意識づけを行います。

介護の本質と介護事業の本質

 介護の本質は、いわずもがなホスピタリティマインドですが、介護事業の本質は、「福祉事業という社会的責任」「おもな財源が税金と保険料という公費事業」であることです。

 介護事業の本質は、経営者だけが知っていれば良いというものではありません。事業所で働くすべての職員が意識しておくべきことです。

  • 福祉事業という社会的責任
  • おもな財源が税金と保険料の公費事業

介護の接遇

 介護における接遇は、優雅さや上品さよりも、「安全・安心」が第一です。

 事業所に来所される高齢者は、少なからず緊張しています。まずはその緊張をほぐして、安心していただくことが大切です。そのためにキーワードとなるのが「受容」です。

 そこに居ることを認め、尊重することで、人は安心感と居心地の良さを感じます。

 事業所に入ってきた時に、誰も見向きもしなかったら疎外感を感じ、さらには怒りに転換する可能性もあります。ご来所されたすべての方を温かく迎え入れることから始めましょう。

ビジネスマナー

 ビジネスマナーというと、名刺の受け渡し方や、敬語の使い方、電話応対の仕方などを思い浮かべるかもしれません。もちろんそれらも大事なビジネスマナーです。

 介護職は、一般企業の事務職と違い、「対人援助職」ですからビジネスマナーなどは不要と思われるかもしれません。
 
 ビジネスマナーは「効率化・標準化・ミス予防」に役立ちます。一定の作業をルーチン化していれば、スピーディに効率よく行うことができます。また、誰が対応しても一定のクオリティで提供でき、クオリティの標準化ができます。それからミス予防になることも大きな利点です。

 介護においてビジネスマナーで心得ておきたいことは、自分がミスをして恥ずかしい思いをしないというよりも、「相手に恥をかかせない」ための対応です。そのためにはマニュアルにとらわれない柔軟な対応ができるようになることも、ステップアップの先にあります。まずは、基本を理解しましょう。

コミュニケーション

 介護においてコミュニケーションは必須です。コミュニケーションにはおもに「バーバルコミュニケーション(言語による意思疎通)」と「ノンバーバールコミュニケーション(非言語意思疎通)」があります。
 ※バーバルとは、「言葉」という意味です。

 コミュニケーションは言葉の意味としては「情報伝達」です。コミュニケーション能力が高い人というと、社交的な明るい人を思い浮かべがちですが、性格的なものだけではありません。無口でひとみしりであっても情報伝達能力の高い人はいます。

 コミュニケーション能力は、技術であって性格ではありません。努力で苦手意識を克服することができます。ポイントをつかめば能力は必ず上がります。諦めないで少しずつ高めていきましょう。

介護職未経験の方の新人研修用動画

介護事業所や施設での介護は、介護資格がなくても、あるいは介護職経験がなくても就くことが可能です。家族介護や子どもや病人の世話などの経験がある方には、そうした経験が生きる場合が多いですが、介護保険制度における介護ケアーを理解しないと、思わぬトラブルとなる場合があります。

最初に、介護職とはどういう仕事かをきちんと理解していただきましょう。

↓介護未経験の方に、介護職員としての心得を理解していただくための動画です。

ようこそ介護の職場へ(新人研修用動画)(BGMあり、約10分)