デイサービスの書類管理の虎の巻

新しく、デイサービスの生活相談員になった、管理者になったみなさん達に、デイサービスの様々な書類を、どのように整備していけば良いのか?をお伝えする連載です。

毎月の連載に合わせて、デイサービスの書類を見直し、整備されると、実地指導の対策にもなります。

【第1回】今日から始める実地指導対策

(2016.6.10配信)

今回整備する書類は「従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表(略称 勤務形態一覧表)」です。

この書類は、開設後から、毎月作成する必要がある書類です(実地指導では、一番最初に確認される書類です)。新規申請、変更届の提出時には、この書類を添付しなくてはいけません。この書式は、決まり事が多く、なかなか取っつきにくい印象をお持ちかもしれませんね。しかし連載の1回目に取り上げるのですから、とても大事な書類の1つです。

この書式は、デイサービスの人員配置基準を満たしているのか?の証拠になる書類になります。実地指導当日は、この勤務形態一覧表の表記とタイムカード、資格証などが突き合わされ、確認されます。
この書類に不備が目立つと、指導官の心証が確実に悪くなります。

なお、この書式は、管理者さんの記憶が曖昧になればなるほど、作成が難しくなります。
また、勤務形態一覧表作成後に、タイムカードとの突き合わせ確認作業をお忘れ無く。

ほとんどの法人さんは、この勤務形態一覧表ではなく、デイサービス独自の勤務表などを使用されている思います。
実地指導の連絡があると、指導当日の1週間前までに、この書式で1ヶ月~数ヶ月分の提出を求められますので、毎月の業務の中で作成しておくと、慌てずに済むと思います。

例えば、予定は「独自の勤務表」で、実績は「勤務形態一覧表」でと、分けて記録しておくと良いかもしれません。なお、予定表と実績表は、両方の保管が必要になります。

勤務形態一覧表は、サービス種別によって、行政区によって表が異なりますので、ご注意ください。
また、新規申請時には、4週の表になっていますが、実績を記録する場合は5週の表に手直しして、ご使用ください。4週で記録しておくと、5週目の実績が確認出来ないためです。

表の欄外に、各職員の5週の合計などを自動計算させると、サービス提供体制強化加算、中重度者ケア体制加算、認知症加算などの算定根拠になりますので、これらの加算を取得している事業所は、毎月作成し、保管してください(これらの加算に関しても、実地指導で確認されると思います)。

特にサービス提供体制強化加算は、年度別に4~2月までの11ヶ月の勤務形態一覧表と「サービス提供体制強化加算に係る届出書」「参考計算書」をひとまとめにして保管しておくと良いと思います。

なお、介護職員処遇改善加算の対象となる「介護職員」は、この勤務形態一覧表に載っている、職種が「介護職員」と記載されている職員になります。この記載を忘れると、実地指導で、指摘されますのでご注意ください。

この書式は、人員配置を始め、様々な加算の根拠になっているデイサービスの中でもとても大切な書類です。この機会に、改めてご確認ください。

【第2回】契約時の書類について

(2016.7.10配信)

新しく、デイサービスの生活相談員になった、管理者になったみなさん達に、デイサービスの様々な書類を、どのように整備していけば良いのか?をお伝えする連載になります。毎月の連載に合わせて、デイサービスの書類を見直し、整備されると、実地指導の対策にもなります。

今月の整備する書類は

  • サービス契約書
  • 重要事項説明書
  • 個人情報使用同意書
    です。

これらの書類は、ご利用者がデイサービスをご利用される前に、取り交わす必要のある書類になります。

実地指導では、午後に、ご利用者のカルテを個別に確認をするときに、
「このご利用者と取り交わした契約書、重要事項説明書、個人情報使用同意書などを見せてください」
と言われます。

そもそも、このサービス契約書を取り交わしていないと、実際にサービスを提供していても、行政側が、公費(9割分)を支払いませんと言われる可能性もありますので、契約書を取り交わしていないという状態は考えられません。

この書式は、デイサービスのサービス料金が、10割の自費ではなく、9割(8割)の公費と1割(2割)の自費とで行なわれる介護サービスの料金である、という根拠の書類になります。公費を投入するために、全国一律の介護保険ルールがあるわけです。
そのため実地指導当日は、当日に有効なサービス契約書なのかが確認されます。特に、制度をまたいでいるのに、契約書がないケースは、指導が入ります。

ここ最近、毎年のように報酬や制度に何かしらの変化がありますので(消費税UP、27年度新報酬、総合事業の開始、地域密着型サービスに移行など)、重要事項説明書をバージョンアップする機会がありますので、その都度、内容を変更してください。

また、介護認定の更新で要介護→要支援、要支援→事業者対象者と、制度をまたぐ場合は、通常契約書、重要事項説明書を再度取り交わす必要があります。ここが抜け落ちやすいポイントになります。
もし、この取り交わしを少なくしたい!というのであれば、契約書や重要事項説明書に、それぞれの制度の名称や料金表を全て載せておけば、取り交わす必要がなくなります。

制度ごとに、複数の重要事項説明書を使用している場合は、それらを統合して1種類にしたほうが便利になります(要介護、要支援、○○市総合事業、△△市総合事業の料金表を全て載せておく)。ご利用者が制度をまたいでも、1つの契約書、1つの重要事項説明書で、対応出来るようになります。

特に、介護保険開設当時から、事業を始められた法人さんは、制度毎に書類を分けて使っている所が多いと思います。最初の頃は、分けるように指導されていました。

実際に、実地指導の案内が来ると、1回目の勤務形態一覧表の作成と、この契約書の更新確認作業、個別サービス計画書の確認作業が主になるかと思います。

こちらも当日に慌てないため、特に毎年4~5月の書類の見直し、1年に1回は、新規ご利用者、認定更新されたご利用者の契約書があるか・ないか?を確認すると良いと思います。

また、料金表が変わったら、変わった料金の同意書をもらうのと、重要事項説明書を取り交わすのと、どちらが良いのか?という質問を受けますが、重要事項説明書のほうが安心ですが、経費がかかったり、手間がかかると言うのであれば、同意書でも良いと思います(ただ、指導官によって、指導内容が異なる場合もあります)。同意書の場合は、サービス契約書などと一緒に保管しておいてください。

個人情報使用同意書は、個人情報の保護に関する法律が根拠となります。特に、利用者の個人情報には、本人と家族の情報も入りますので、両者の同意が必要になります。こちらも忘れずに、書類を保管してください。

これらの書式は、公費を受ける根拠になっているデイサービスの中でもとても大切な書類です。この機会に、改めてご確認ください。

【第3回】介護保険被保険者証、負担割合証

(2016.8.10配信)

今月の整備する書類は「介護保険被保険者証、負担割合証」です。

これらの書類も、ご利用者がデイサービスをご利用される前に、取り交わす必要のある書類になります。

実地指導では、午後に、ご利用者のカルテを個別に確認をするときに、「このご利用者の介護保険被保険者証と負担割合証を見せてください」と言われます。

この書類は、実地指導時に有効な介護保険被保険者証と負担割合証を提示する必要があります(介護認定期間内のものが必要になります)。

サービス開始時には被保険者証を受け取ったけど、その後は受け取っていないなぁというケースもあるかもしれませんね。ただその場合は、口頭指導されると思いますので、出来る限り準備をしてください。

この被保険者証は、デイサービスが法定代理受領方式で、ご利用者の料金(8・9割)を受け取れる根拠になる書類になります。

法定代理受領方式というのは、指定居宅サービス事業者や介護保険施設が、利用者である被保険者に代わって保険給付を受ける方法(代理受領)によって提供されるサービスのことです。

本来、社会保険は、償還払い方式(金銭給付)が基本ですが、医療保険と介護保険に関しては、この法定代理受領方式(現物給付)が認められています。

償還払い方式というのは、利用者が費用の全額(10割)をデイサービス事業者に支払い、その後、保険者の市区町村に申請をして、後日その費用の8・9割分の現金を払い戻されるのです(専門用語で「償還」という)。

ただ、この償還払いは、一時的に利用者が、全額を立て替えることになるので、料金が用意出来ないから、利用できません・・ということも起こりえます。

それを防ぐために、医療・介護では、法定代理受領方式を使った「現物給付(サービス給付)」という形で、サービスを提供します(償還払い方式は「金銭給付」になります)。

ただ、介護保険でも福祉用具購入費、住宅改修費、高額介護サービス費の支給(給付)などは、償還払いになっています。

利用者には使いやすい制度ではありますが、例外的な取扱いなので、きちんと事業所側で、利用者の介護保険被保険者証を確認することが求められています。これを確認しないと、もしかしたら8・9割を事業所がもらえない・・という事態もありえます。

また27年8月から始まった、介護保険負担割合証ですが、こちらは前年の所得に対して負担割合が決まるため、毎年7月に新しい負担割合証が利用者のご自宅に届きます(要支援・要介護認定を受けている人のみ)。そのため、この書類は、毎年事業書が利用者から集めて、レセプトソフトの更新をする必要があります、被保険者証と一緒に保管してください(自己負担が1・2割なのかを判断する大切な書類です)。毎年8月分の請求から、負担割合が変った方は、レセプトのコードを変更する必要があります。

とはいえ、利用者が被保険者証をデイサービスになかなか持ってこないケースもあると思います。原則は、被保険者証のコピーを保管するとしておいて、それが難しいケースは、以前の被保険者証のコピーの枠外に、「4/15 ご本人から被保険者証について、口頭で確認した(介護度2、28年4月1日~29年3月31日)橋谷 」のように記録を残しておいてください。そして、後日、ケアマネジャーからの提供票などに載っている情報を確認しましょう。

これらの書式は、介護保険の法定代理受領方式のデイサービス側の根拠になっている大切な書類です。この機会に、改めてご確認ください。


【第4回】個別サービス計画書(通所介護計画書)

(2016.9.10配信)

今月の整備する書類は「個別サービス計画書(通所介護計画書)です。

この書類も、ご利用者がデイサービスをご利用される前後に、取り交わす必要のある書類になります。
特に通所介護計画書と、個別機能訓練加算計画書と共通フォーマットにしている場合は、計画書の同意の日付が、加算の算定開始日になりますので、ご注意下さい。

実地指導では、役所の担当者から当日の午後に、ご利用者のカルテを個別に確認をするときに、「このご利用者の通所介護計画書を見せてください」と言われます。
実地指導時に有効な計画書を提示する必要があります(介護認定期間内に有効な計画が必要になります)。

通所介護計画書は、通常はケアプランの目標期間と同一であることが多いと思います(中には、ケアプラン自体が、介護認定期間内に更新されない場合もありますが・・)。
要するに、ケアプランが更新されたら、それに併せて、通所介護計画書も更新するということです。

ケースバイケースにはなりますが、ケアプランが更新されなくても、12ヶ月程度で一度見直しをした方が良いと思います。もちろん、見直しをするようなイベントがあれば(入院、転倒、家族の死別など)、その時点で計画を更新して下さい。

この通所介護計画書は、デイサービスのサービス提供の根拠になる書類になります。そのため、この計画書がないと、サービス自体を認めず、基本報酬の全額返還となる場合があります。

また、計画書担当スタッフさんの退職や異動で、計画書の中抜けがあり(26年1月から12月、28年1月から12月)、それが実地指導で、その中抜け期間(27年1月から12月)が指摘され、同様にサービスを認めないと主張されるケースもあります。
利用者のサインが必要な書類は、変なところに(スタッフのロッカーなど)に保管されていることもありますから、実地指導前に、カルテを整理しておいて下さい。

通所介護計画は、介護過程に沿って作成されますので(アセスメント→計画書作成→説明同意交付→実施→評価→アセスメント)、基本的には、アセスメントの枚数と通所介護計画書の枚数は同じになります。

厚生労働省は、個別サービス計画書をより介護に活かすべく、利用者が頑張って達成できる目標を設定し、3ヶ月~半年間に達成できるようにスタッフが支援をして、期間が終了したら、次の新しい目標に取り組むような形にしたいと考えているようです(プログラムの軽微な変更ではなく、目標自体を更新する)。

ちなみに評価というのは、設定した期間(3~6ヶ月)に、その目標が達成されたかどうか?を判断します。

その結果、
1.達成
2.一部(達成)
3.未達
のどれかになります。

その後、次の計画書を作成するために、アセスメントを行った上で、
1.達成 であれば「新しい目標」
2.一部 であれば「プログラムの軽微な変更」
3.未達 であれば「プログラムの変更」もしくは「目標の変更」
を行ないます。

これにより、計画書が更新されない状況が無くなり、評価の機会に、計画を修正(見直し)出来る形になります。

実地指導では、前回と今回でどのように計画が変更されたか?を口頭で確認されることもあります。特に変更点は、マーカーなどでわかりやすくしておくと、説明時に便利だと思います。

なお、介護目標は、加算が増える度に、その加算毎の目標が必要になります。

通常は、
通所介護に通うことで得られるメリット=通所介護計画の目標(ICFの参加の目標)が大目標となり、
加算として個別機能訓練加算1や口腔機能向上加算(ICFの心身機能・構造の目標)、
個別機能訓練加算2(ICFの活動の目標)というように小目標として、
わけて考えると良いかもしれません。

また、ケアプランの目標をそのまま通所介護計画に転記しているケースがありますが、ケアプランはあくまでも方向性を示しているだけなので、その方向性で、どのように具体的な成果を得たいのか?を目標として設定します。

なお、平成27年3月27日「通所介護及び短期入所生活介護における個別機能訓練加算に関する事務処理手順例及び様式例の提示について」に、通所介護計画書のひな形が載っています(初めて通所介護計画書のひな形が厚生労働省から出ました)。
特に、プログラム(1日の流れ)、評価、他職種で計画を作成したことが分かる欄、自宅での活動・参加の状況(役割)などが追加されています。一度、現在使用中の通所介護計画書と見比べて、足りない項目を追加して下さい。

この書式は、介護サービスの根拠となっている大切な書類です。この機会に、改めてご確認ください。

連載について、何かご不明点、ご質問がありましたら、お気軽にお尋ねください。


【第5回】個別サービス計画書(通所介護計画書)

(2016.10.10配信)

みなさんこんにちは、スクナクリエイトの橋谷です。
今回は最終の5回目(全5回)です。

新しく、デイサービスの生活相談員になった、管理者になったみなさん達に、デイサービスの様々な書類を、どのように整備していけば良いのか?をお伝えする連載になります。毎月の連載に合わせて、デイサービスの書類を見直し、整備されると、実地指導の対策にもなります。

今までは「1回:従業員勤務形態一覧表」「2回:サービス契約書・重要事項説明書・個人情報使用同意書」「3回:介護保険被保険者証・負担割合証」「4回:個別サービス計画書(通所介護計画書)」を紹介してきました。

今月の整備する書類は「業務日誌、バイタル表、送迎日報、利用者カルテ」です。

これらの書類は、ご利用者がデイサービスをご利用された後から、必要になる書類です。

ただ「業務日誌、バイタル表、送迎日報」は、デイサービスとして、毎日記録する必要がある書類で、利用者カルテは、ご利用者がデイサービスを利用する毎に記録する書類になります。

実地指導では、午後に、利用者カルテを個別に確認をするときに、そのご利用者の記録が、「業務日誌、バイタル表、送迎日報」に載っているか?が確認されます。不正受給をしていないかを確認するために、複数の資料を見て、利用している事実を確認するのです。

一般的に、業務日誌は「主簿」と呼ばれ、その他の記録は「補助簿」と呼ばれます。この「主簿」と「補助簿」に載っている情報の整合性を問うのが、実地指導です。

ただ、あまりにも「主簿」と「補助簿」に共通する記録が多いと、転記ミスや書き間違いなどが生じるので、なるべく共通する記録は少ない方が良いでしょう。転記ミスは、実地指導でのツッコミ質問を増やすことにつながります。
共通する記録は、「人数」などのシンプルなものが良いと思います。

バイタル表は、1日のレセプト入力をするときに、一覧表だと便利なので作成しているデイサービスさんが多いと思います(人数が少なければ、業務日誌に書いている所もあるかもしれません)。

ただ個人的には、業務日誌にいろいろと情報を盛り込みすぎると、修正が必要なときに苦労しますので、業務日誌はシンプルにして、補助簿に詳細を記載する方が良いように思います。

送迎日報についてです。送迎日報に載っている時間が、利用者の滞在時間を証明する唯一の記録になっている所も多いでしょうから(となると、この時間の記録は、利用者にとってのタイムカードということになります)、送迎日報の時間は、デイサービスに到着する時間と、出発する時間を、きちんと記録しておく必要があります(1分単位で)。

ちなみに、デイサービスに到着する時間は、送迎者に乗っていた最後の人が、デイサービスに入った時間で、デイサービスから出発する時間は、送迎者に乗り込む最初の人が、デイサービスを出た時間です。お間違いなきよう。

また、いつでも情報が見られるように、業務日誌に、バイタル表や送迎日報、上司への報告メールなどを一緒に綴じておくと、確認がしやすいですし、実地指導でも確認されやすくなります。

利用者カルテについては、様々な情報が載っています。アセスメント用紙、介護保険被保険者証、負担割合証、申込用紙、日々の記録用紙、評価用紙、計画書、ケアプラン、レセプト関係書類、契約書類などなど。利用者によって必要な書類が抜けているケースがありますし(契約書関係は特に注意しましょう)、計画書の期間抜けなどがないか?を定期的に確認しましょう。

なお、前回もお伝えしたように、介護目標は、加算が増える度に、その加算毎の目標が必要になります。
そのため、加算毎に、計画(目標、プログラム)→プログラムの実施記録→目標・プログラムの評価→計画の変更の介護過程を進むため、毎回の記録量はそれなりの量になると思います。

セミナーで、「実施記録がないのですが、ダメですか?」と聴かれるのですが、実地指導で冷や汗をかきたくなければ、日々記録しましょう。

これらの書式は、介護サービスの日々の根拠となる大切な書類です。この機会に、改めてご確認ください。

この連載が、みなさまのお役に立つことを祈って、終わりにしたいと思います。

連載について、何かご不明点、ご質問がありましたら、お気軽にお尋ねください。


橋谷さん

橋谷 創
スクナクリエイト代表
社会保険労務士・社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士

人事・総務・法務のプロ。社内外の講習会で講師として活躍。
資格試験対策講座とコミュニケーション講座は定評あり。『介護事業所の生活相談員速習講座』『介護事業のマネジメント講座』では毎回充実の講義を行っています。受講後のフォローもきめ細かく、受講者の質問にも丁寧に答えます。