口腔ケアー体操

食べることは生きる意欲につながります。

 高齢者に限らず、誰でも食べることは何よりの楽しみですね。三度の飯より○○が好きという人もいますが、それでも何も食べないでは生きられないのです。

 食べるためには、食材を用意する→調理をする→食べる→片付ける、など一連の作業が必要です。このうち「食べる」だけでも実は脳や筋肉、そして消化機能などが相当使われているのです。

 動物界では、食べられなくなったらその時点で死を意味します。しかし、人間は、介助や医療的ケアによって栄養補給され生きながらえます。

機能的口腔ケアー

 口腔ケアーというと、口腔内の衛生を保ち、虫歯や歯槽膿漏を防ぐことと思い浮かべるでしょう。ドラッグストアに行くと、多種類のオーラルケア―用品が並んでいます。歯磨きや歯ブラシだけではなく、マウスウォッシュやデンタルフロスなど、一昔前には見られなかった商品が沢山出ています。

 こうした虫歯予防や虫歯の治療を含む、口腔内環境を整えることは、歯科医や口腔外科医と歯科衛生士の領域です。

 しかし、食べるためには歯の健康だけではなく、口周り(さらには首や肩)の筋肉などの機能も大事なのです。嚥下や咀嚼のための機能が衰えると、誤嚥や窒息の危険が高まります。

 誤嚥は、気道に食べ物片が入り込んでしまうことで、誤嚥性肺炎の要因になります。気道に食べ物が詰まると窒息してしまいます。いずれも、咀嚼する力や、飲み込む力の衰えが大きな理由です。

 口周りの運動をすることで、筋肉をほぐし、噛む力や飲み込む力を維持する口腔ケアー体操は、食べる意欲を向上させる、高齢者の自立支援には欠かせない体操です。 

 口腔ケアー体操は、たまにやればよいというものではなく、食事前に習慣化して行うことが理想です。また、食事前に限らず、テレビを観ながらや、入浴しながらでも気軽にできます。生活の一部になるように、しっかり行いましょう。

明るく! 楽しく! 元気でね!

口腔ケアー体操の効果

  • 誤嚥予防(誤嚥性肺炎予防)、窒息予防
  • 顔の筋肉をほぐし、表情が豊かになる
  • 口周りや舌の動きが良くなり、話し方が流暢になる
  • 楽しく実践することで、脳の活性化になる

 おいしく食べられるようになるだけでなく、話す・笑うなど、人間関係も良くなることが期待できます。

 デイサービスでは、食事前の習慣として、15~30分程度しっかり行うことをお勧めします。

口腔ケアー体操の基本

 口の周りだけではなく、首や肩までもほぐすように行うのが良いでしょう。胃や腸の働きを良くする、深呼吸も欠かせません。どのような動きも反動で勢い付けて行うのではなく、ゆっくりと呼吸に合わせて動かすようにしましょう。

  • 呼気の保持
     大きく息を吸って、いったん溜め、ゆっくり吐き出す。
  • 深呼吸
     自然呼吸から、まず吐ききった状態から、大きく吸い込む。
  • 肩・肩甲骨の運動
     肩の上げ下ろしと、肩回し(肩甲骨をほぐすように腕を回す)。
  • 背筋の運動
     両腕をまっすぐ上に伸ばした状態で、身体を左右、前後に倒す。
  • 舌の運動
     舌を出したり、ひっこめたり、左右に動かしたりする。
  • 発声訓練
     いろいろな音を声に出して、口やのどの運動をする。
     音によって、咀嚼や飲み込みなど、効果が異なるので、いろいろな音を、長さやリズムも変えてやってみると良い。
     また、楽しみながら発声することはストレス解消にもなり、副次的な効果も期待できる。

    練習に役立つ早口言葉

    • 隣の客は よく柿食う客だ
    • 赤パジャマ 黄パジャマ 茶パジャマ
    • 東京特許許可局局長許可申請書類提出
    • 赤巻紙 青巻紙 黄巻紙
    • 庭には二羽 裏庭には二羽 鶏がいる
    • 坊主が屏風に 上手に坊主の絵を描いた

口腔ケアー体操の動画マニュアルです。(動画は約10分。音楽が流れます。)
↓ タイムキーパーとしてご活用ください。


口腔機能チェック

 口腔機能の衰えをチェックしましょう。口腔機能は、食べる・呼吸する・喋る、表情を作る、など口を中心にしたいくつかの機能があります。
 

衛生状態チェック(歯、入れ歯、舌)

  • 歯や入れ歯の汚れ
     磨き残しや、食べかすの付着など
  • 舌の汚れ
     食べかすの付着、舌苔の付着、色や腫れなど
  • 口 臭
     離れていても強く気になる、会話時に臭いが気になる、食材によっては食後気になる、など

コミュニケーション(会話や表情)

  • 表 情
     表情が乏しい(笑顔が少ない)、ぎこちない、など
  • 発音、発声
     発音がはっきりしない、呂律が回らない、ゆっくりたどたどしく話す、声がかすれる、会話が減った、など

栄養摂取(食事・水分補給)

  • 嚥下・咀嚼
     咳き込み、のどに食べ物が詰まる、食べかすが残る、歯ごたえのあるものを食べ残す、など